【体験談】不登校の兄弟を「ずるい」と感じる理由|親ができる対応

兄弟の一人が不登校になり、家で過ごすようになると、学校へ通っている子どもから、
「学校へ行かなくていいなんてずるい」
「自分も休みたい」
「あの子ばかり優しくされている」
と言われることがあります。
親としては、不登校になった子どもを責めたくありません。
一方で、学校へ通っている兄弟にも我慢をさせたくないと思うでしょう。
どちらの気持ちも分かるため、何と答えればよいのか悩むのではないでしょうか。
この記事では、兄弟が不登校を「ずるい」と感じる理由、親が避けたい対応、両方の子どもを支える方法について、私と兄の経験も交えながら考えます。
※この記事は、不登校を経験した子ども側から振り返って書いています。家庭の状況や兄弟の関係によって、合う対応は異なります。
「ずるい」という言葉を注意する前に、その子が何を我慢しているのかを聞くことが大切だと思います。
兄弟が不登校を「ずるい」と言うのはなぜ?


兄弟が「ずるい」と言うと、不登校の子どもを責めているように聞こえます。
しかし、その言葉の奥には、別の気持ちが隠れている場合があります。
自分だけ学校へ行くことがつらい
学校へ通っている子どもも、毎日元気に登校できているとは限りません。
朝起きること。
授業を受けること。
友達と過ごすこと。
宿題やテストに取り組むこと。
学校へ行けていても、疲れや不安を抱えていることがあります。
家で過ごしている兄弟を見ると、
「自分もつらいのに、どうして自分だけ行かなければならないの?」
と思うことがあります。
不登校の兄弟ばかり心配されているように感じる
子どもが不登校になると、親はその子の体調、学校、勉強、進路について考える時間が増えます。
学校への連絡や面談も必要になります。
その様子を見ている兄弟は、
「自分のことは心配してくれない」
「学校へ行けているから、放っておかれている」
「あの子ばかり親と話している」
と感じるかもしれません。
家で自由に過ごしているように見える
不登校の本人は苦しんでいても、その苦しさは外から見えにくいものです。
兄弟から見ると、
- 朝早く起きなくてよい
- 日中にゲームや動画を見ている
- 宿題をしていない
- 学校を休んでも怒られない
- 親と二人で出かけている
ように見える場合があります。
不登校の本人が楽をしているとは限りません。
それでも、学校へ通っている兄弟からは「好きなことだけしている」ように見えることがあります。
自分も親に気づいてほしい
「ずるい」という言葉は、
「自分の話も聞いてほしい」
「自分も疲れている」
「自分ばかり我慢したくない」
という気持ちの表れかもしれません。
「ずるい」は、不登校の兄弟への悪意ではなく、自分にも気づいてほしいという言葉の場合があります。
「ずるい」と言われても、すぐに叱らなくてよい
不登校の子どもを守ろうとして、
「ずるいなんて言わないの」
「あの子の方がつらいんだから」
「学校へ行けない気持ちも考えて」
と言いたくなることがあります。
しかし、言葉だけを注意すると、学校へ通っている兄弟は本音を話しにくくなるかもしれません。
まず気持ちを短く受け止める
最初から正しいことを説明するより、
ずるいと感じたんだね。
あなたも何か我慢しているのかな。
と聞いてみます。
「ずるいと思ってはいけない」と感情を否定する必要はありません。
不登校の兄弟を傷つける行動は止める必要がありますが、心の中で感じたことまで禁止するのは難しいと思います。
感情と相手を傷つける行動は分ける
「ずるい」と思う気持ちは聞きます。
一方で、
- 不登校の兄弟へ「怠けている」と言い続ける
- 部屋へ押しかける
- ゲームや持ち物を勝手に取り上げる
- 無理やり学校へ連れて行こうとする
- 友達へ不登校のことを言い広める
といった行動は止めます。
声をかけるなら、次のような形です。
つらい気持ちは聞くよ。
ただ、相手を傷つける言い方はやめよう。
「あなたは学校へ行けるから大丈夫」と決めつけない
学校へ通っている兄弟に対して、次のような言葉は避けた方がよいと思います。
- あなたは元気だから大丈夫
- あなたまで休んだら困る
- お兄ちゃん・お姉ちゃんだから我慢して
- あの子の方がつらい
- 学校へ行けるだけありがたいと思って
- 休んでいる兄弟を見習わないで
学校へ行けていることと、つらくないことは別です。
兄弟自身の学校生活を聞く
不登校の兄弟についての話ではなく、その子自身について聞きます。
最近、学校で嫌なことはない?
朝や授業中につらくなることはある?
家で我慢していることはない?
本当は休みたいくらい疲れている?
一度で答えてくれなくても構いません。
「あなたのことも気にしている」と伝えることが大切です。
不登校の子どもの相談役にしない
学校へ通っている兄弟へ、
「どうしたら学校へ行くと思う?」
「あの子に話してくれない?」
「あなたから勉強するように言って」
と頼りすぎるのは避けます。
兄弟は、親や支援者の代わりではありません。
自分の生活を優先してよい子どもです。
同じ扱いと公平に支えることは違う
兄弟を公平に扱いたいと思うほど、
「二人に同じルールを使わなければ」
と考えることがあります。
しかし、まったく同じ対応が公平とは限りません。
| 同じ扱い | それぞれに必要な対応 |
|---|---|
| 二人とも必ず同じ時間に起こす | 体調や登校時間に合わせる |
| 二人とも同じ勉強時間にする | 現在の学習状態に合わせる |
| 一人が休んだらもう一人も休ませる | それぞれの体調を確認する |
| 二人とも同じゲーム時間にする | 生活への影響を見て話し合う |
| 何でも同じように注意する | 困っている理由を個別に聞く |
必要な助けが違うことを説明する
学校へ通っている兄弟には、次のように伝えられます。
二人とも大切だけれど、今必要な助けが少し違うんだ。
あなたの話も聞きたいし、つらいことがあれば助けたい。
対応が違う理由を何も説明しないと、
「不登校の子だけが特別」
と感じやすくなります。
ただし、不登校の本人が話してほしくない事情や、診断・相談内容まで詳しく伝える必要はありません。
学校へ行く兄弟にも休める時間を作る
学校へ通っているからといって、毎日頑張り続けなければならないわけではありません。
休日に予定を入れすぎない。
家事を減らす。
一人で過ごせる時間を作る。
親と二人で出かける。
その子にも休める時間や楽しめる時間を用意します。
同じ対応にすることより、二人とも「自分も大切にされている」と感じられることが大事だと思います。
不登校の子だけ特別に見える場面を整理する


兄弟が「ずるい」と感じる場面を、具体的に聞いてみましょう。
ゲームやスマートフォンを使っている
学校へ通う兄弟には、
「宿題が終わってから」
「夜は早く寝ること」
というルールがあるのに、不登校の子どもは日中もゲームをしている。
そのように見えると、不公平に感じやすくなります。
不登校中にゲームをすること自体を、すぐに禁止する必要はないと思います。
ただし、家族内で不満が大きくなっている場合は、
- 睡眠への影響
- 食事の時間
- 家族で使う場所での音
- 課金
- ゲームを終える時間
などを、本人の状態に合わせて話し合います。
家事をしなくても注意されない
学校へ通っている兄弟だけが、食器を片づけたり、手伝いをしたりしていると、不満が出ることがあります。
不登校の子どもにも、体調に合わせてできることがあれば相談します。
ただし、
「学校へ行かない代わりに家事をする」
という罰にはしません。
生活の一員として、できる範囲を一緒に考えます。
親と二人で出かけることが増えた
通院、相談、学校との面談などで、不登校の子どもと親だけで出かける機会が増えます。
学校へ通っている兄弟は、自分だけ置いていかれたと感じるかもしれません。
短い時間でも、別の日にその子と二人で過ごす時間を作るとよいと思います。
家庭のルールは登校できたかだけで決めない
「学校へ行ったらゲームをしてよい」
「学校を休んだら何もしてはいけない」
というルールは分かりやすい一方、不登校の子どもには罰のように感じられることがあります。
家族のルールは、登校のご褒美や欠席の罰ではなく、生活を続けるために考えます。
家族全体で確認しやすいルール
例えば、次のような部分です。
- 夜間は大きな音を出さない
- 食事の時間を大きくずらしすぎない
- 人の物を勝手に使わない
- 課金は事前に相談する
- 体調が悪いときは伝える
- 家事はできる範囲で分担する
すべてを同じ量にする必要はありません。
ただし、ルールが違う場合は、理由を簡単に説明します。
不登校の本人を罰して納得させない
学校へ通っている兄弟の不満を減らすために、
- 日中のゲームを全面禁止する
- 無理に勉強させる
- 家事を大量にさせる
- 外出を禁止する
といった対応をすると、不登校の本人がさらに苦しくなる可能性があります。
兄弟の不満を聞くことと、不登校の子どもを罰することは別です。
学校へ通う兄弟と一対一で話す時間を作る
不登校の子どもが同じ場所にいると、本音を言いにくい場合があります。
一対一で話せる時間を作ってみましょう。
長時間の話し合いでなくてもよい
- 買い物へ一緒に行く
- 車の中で話す
- 短い散歩をする
- 寝る前に10分だけ話す
- 二人で食事をする
など、自然に話せる時間でも構いません。
「今日は話し合うよ」と構えると、かえって緊張する子どももいます。
兄弟への悪い感情も話してよいと伝える
学校へ通っている兄弟は、
「不登校の子を悪く言ったら親に怒られる」
と思っているかもしれません。
あの子に腹が立つことがあっても、ここでは話して大丈夫だよ。
ただし、本人へ直接傷つける言い方をするのはやめよう。
と伝えます。
親がすぐに反論せず聞くことで、本当の不満が見えやすくなります。
不登校中学生への勉強・生活・進路の関わり方は、こちらの記事でまとめています。


不登校の子どもへ兄弟の不満をそのままぶつけない
学校へ通っている兄弟から不満を聞いた後、そのまま不登校の本人へ伝えるのは避けた方がよいと思います。
避けたい伝え方
- あなたが休んでいるから、お兄ちゃんも怒っている
- みんなに迷惑をかけている
- 弟がずるいと言っているよ
- あなたのせいで家の雰囲気が悪い
- 兄弟のためにも学校へ行って
このように言われると、不登校の本人は家族への罪悪感を強めるかもしれません。
親が間に入って整理する
まず、それぞれから別々に話を聞きます。
そのうえで、生活上どうしても共有が必要な部分だけを伝えます。
例えば、
夜のゲーム音で眠れないと言っているから、音量を一緒に考えよう。
という伝え方です。
「あなたが不登校だから困っている」ではなく、具体的な生活上の問題として話します。
兄弟の不満を、不登校の子どもへの罪悪感や登校の圧力に変えないようにしましょう。
学校へ通う兄弟も「休みたい」と言ったとき


「まねをしている」「つられただけ」と決めつけず、その子自身の体調や学校生活を確認します。
朝の体調不良、人間関係、勉強、睡眠など、以前から無理をしていなかったか聞いてみましょう。
その子の体調や学校生活を確認する
次のように聞いてみます。
学校で嫌なことがある?
朝や授業中に体調が悪くなる?
人間関係で困っている?
勉強が大変になっている?
ただ休みたいくらい疲れている?
「休みたい」という言葉が、一時的な疲れなのか、継続しているSOSなのかを見ます。
1日休んだからといって、それだけで不登校になるとは限らない
体調が悪い日や疲れが強い日に休むことと、不登校になることを同じに考える必要はありません。
ただし、欠席が増えている、朝の体調不良が続いている、学校の話を避けるなどの変化がある場合は、本人に話を聞き、必要に応じて学校にも確認します。
「あなたまで休んだら困る」と言わない
親の本音としては、その通りかもしれません。
しかし、この言葉を聞いた子どもは、
「自分はつらいと言ってはいけない」
と感じる可能性があります。
代わりに、
あなたもつらいなら、そのことは別に考えよう。
何が大変なのか聞かせてほしい。
と伝えます。
以前から無理をしていなかったかを見る
- 朝に体調不良がなかったか
- 人間関係で悩んでいなかったか
- 勉強についていけていたか
- 睡眠が取れていたか
- 親に悩みを隠していなかったか
- 「自分はしっかりしなければ」と無理をしていなかったか
を振り返ります。
「兄弟が休んでいるから、自分も休みたくなっただけ」と決めつけると、本当のつらさを見逃すかもしれません。
兄弟を同じ原因で説明しない
同じ家庭で暮らしていても、学校へ行けなくなる背景は違います。
一人は人間関係。
もう一人は体調。
または、複数の負担が重なっていることもあります。
二人をまとめて考えず、それぞれ別の子どもとして話を聞きます。
私が不登校になった後、兄も学校へ通わなくなった
私が中学生のころに不登校になった後、兄も学校へ通うことが少なくなりました。
最終的には、兄は学校を退学しました。
当時は兄の気持ちまで考える余裕がなかった
当時の私は、自分が学校へ行けないことで精いっぱいでした。
自分の体調や学校のことを考えるだけでも苦しく、兄が何を感じていたのかをゆっくり考える余裕はなかったと思います。
兄が学校へ行かない日が増えても、本当の理由までは分かりませんでした。
自分が影響したのではないかと考えた
私が先に学校を休むようになったため、
「自分が不登校になったことで、兄も行かなくなったのではないか」
と考えることがあります。
家族の一人が不登校になると、家庭の雰囲気や、学校に対する家族の考え方が変わることはあると思います。
ただし、兄が退学した原因を私だけに結びつけることはできません。
兄にも、兄自身の学校生活や悩みがあったはずです。
本人にしか分からないこともあります。
私の不登校だけが原因だったとは思わない
今の私が大切だと思うのは、
「誰のせいでこうなったのか」
を決めることではありません。
兄も以前から何かを我慢していたのかもしれません。
私が休む姿を見て、自分のつらさを隠し続けられなくなった可能性もあります。
ただ、これは現在の私の推測です。
兄の本当の気持ちは兄にしか分かりません。
私の家庭で兄も学校へ通えなくなったからといって、すべての家庭で同じことが起きるわけでもありません。
兄弟同士を比べない
不登校の子どもと学校へ通っている子どもを比べると、どちらも苦しくなる可能性があります。
避けたい比較
- お兄ちゃんは学校へ行っているのに
- 弟は休んでいるけれど、あなたは頑張っている
- あなたの方がしっかりしている
- 兄弟なのに、どうしてこんなに違うの?
- あの子を見習って
- あなたはあの子のようにならないで
学校へ通う兄弟を褒めるつもりでも、
「自分は休めない」
「ずっと優等生でいなければならない」
と感じることがあります。
不登校の本人も、
「兄弟より自分は劣っている」
と感じるかもしれません。
それぞれを別々に見る
褒めるときも、兄弟との比較ではなく、その子自身の行動を見ます。
疲れていたのに、今日は学校へ行ったんだね。
家でゆっくり休んでいいよ。
今日は自分から体調を話してくれたね。
教えてくれてありがとう。
同じ基準で評価するのではなく、それぞれの今の状態を見ます。
家族だけで抱えきれないときは相談する
兄弟二人に学校への不安や体調の変化が出ている場合、親だけで支え続けるのは大変です。
在籍校、教育センター、教育相談所、教育支援センターでは、不登校や学校生活について相談できる場合があります。文部科学省も、まず在籍校と連絡を取り、地域の教育相談機関などを利用する方法を案内しています。
相談できる場所
- 在籍校の担任
- 養護教諭
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- 教育センター・教育相談所
- 自治体の子育て相談
- 医療機関
相談先の名称や利用方法は地域によって異なります。
文部科学省のサイトには、都道府県・市区町村ごとの不登校相談窓口も掲載されています。
不登校の子どもだけを相談対象にしない
学校へ通っている兄弟にも変化がある場合は、その子についても相談してよいと思います。
「不登校ではないから対象外」と考えず、
- 学校ではどのように過ごしているか
- 最近、無理をしていないか
- 家庭内の変化をどう受け止めているか
を学校と共有します。
不登校支援では、本人ごとの背景を把握し、家庭・学校・必要な関係機関が連携することが重要とされています。
親自身に余裕がなくなっているとき
親は、不登校の子どもだけを支えているわけではありません。
学校との連絡。
兄弟の不満。
仕事。
家事。
勉強や進路の心配。
すべてを同時に抱えていれば、穏やかに対応できない日もあると思います。
親が相談してもよい
子ども本人が相談を嫌がる場合でも、最初は保護者だけで学校や相談機関へ話す方法があります。
親自身の疲れや不安も相談して構いません。
親が一人で抱え込まないことは、二人の子どもを支えるためにも必要だと思います。
毎日完璧に対応しなくてもよい
イライラしてしまった。
言わなくてよいことを言ってしまった。
片方の子どもの話を十分に聞けなかった。
そのような日もあると思います。
後から、
さっきは強く言いすぎた。
あなたの気持ちも聞きたい。
と話し直すこともできます。
私の意見
兄弟が不登校を「ずるい」と言ったときは、その言葉だけを注意して終わらせない方がよいと思います。
不登校の本人だけでなく、学校へ通っている兄弟も「自分だけが我慢している」と苦しんでいる場合があるからです。
私が不登校になった後、兄も学校へ通うことが減り、最終的には退学しました。兄には兄の事情がありましたが、当時の私は自分のことで精いっぱいでした。
今振り返ると、兄弟それぞれに話を聞く時間が必要だったのかもしれません。
「学校へ行けているから大丈夫」と決めつけず、一人ひとりの気持ちを見てほしいと思います。
兄弟が不登校をずるいと言うときのFAQ
まとめ:不登校の本人だけでなく兄弟の気持ちも聞こう
兄弟が不登校を「ずるい」と言うときは、その言葉だけを注意せず、奥にある気持ちを確認してみましょう。
今回の大切なポイントは、次のとおりです。
- 「ずるい」と言った気持ちをすぐ否定しない
- 相手を傷つける行動には線を引く
- 学校へ通っている兄弟とも一対一で話す
- 同じ扱いではなく、それぞれに必要な支援を考える
- 家のルールを登校の罰やご褒美にしない
- 兄弟の不満を不登校の本人へそのままぶつけない
- 「自分も休みたい」は本人自身のSOSかもしれない
- 兄弟も休み始めたら「つられた」と決めつけない
- 二人を比較しない
- 家族だけで難しい場合は学校や相談機関を利用する
兄弟の一人が不登校になったときは、誰かのせいにするより、二人がそれぞれ何に困っているのかを見ることが大切だと思います。
不登校の本人だけでなく、学校へ通っている兄弟も、支えてほしい家族の一人です。




